スペックの違いはカタログやキヤノンのWebサイトを見れば分かりますので、撮り比べてみました。三脚を使っていないので若干角度が違いますが、同じ場所で撮り比べてみました。いずれもS95, G12の順に並べます。絞りはG12の開放に合わせてF2.8で、感度は最低のISO 80です。ピントは画面中央で合わせているのでほぼ無限遠です。従って画面の端は近いのでピンボケではありますが、それでも10メートル以上離れているのでほぼ深度内です。
写真の上で右クリックしてリンク先を新しいタブで開くと、写真を一枚ずつ別のタブで開くことが出来るので比較しやすいです。
結論としては、確かに明るいところでの画質はG12の方が良いですが、実際に使う時には、特に室内で使う時には、広角端でS95が1段明るいことが効いてきます。S95でISO800とG12でISO1600なら、レンズの差以上に感度の差が効いてS95の方が綺麗です。
まず本体生成JPEG
S95のレンズは歪曲収差補正が入っています。DxOを使って補正前の画像を見てみます。
G12は補正されていないことが分かります。この構図だとそもそも歪曲が分かりづらいですね。タブで開いて上の本体生成JPEGと見比べてください。
DxOを持っていなくても、カメラ付属のDigital Photo Professionalを使って補正することもできます。
ここで面白いのはS95で、Digital Photo Professionalで歪曲収差補正をしなくても本体生成JPEGと同様の補正がなされていて、歪曲収差補正を有効にするとさらに正確に補正されます。G12はレンズの大きさに余裕があり歪曲収差が少ないのでJPEGでは補正されていませんが、このソフトを使えばその歪曲収差も補正されます。
DxOを使うと一番正確に補正されます。
補正の際に画像の端が切り取られる部分も少なくなるので、補正量が大きなS95だと元画像よりかなり広い範囲が写ります。どちらも換算28mmですが、実際の焦点距離はS95は6mm、G12は6.1mmで、S95は歪曲収差補正で切り取られる分も考慮して光学系は28mmより少し広く写るようです。
解像を見るために等倍で切り出しました。
まずは本体生成JPEGの中心部。先ほど同様S95, G12の順です。
S95の方がシャープネスが強くかかっていて、輪郭が画像処理によって強調されています。
次に同じく本体生成JPEGの左上隅を切り出しました。
画面中央でピントを合わせているので若干ピンボケの筈です。ピントがずれるとどう崩れるか、という参考にものなると思います。
レンズが小さいので仕方ないですが、S95の方が流れていて、これと歪曲収差補正が重なって解像感が悪いです。色収差も目立ちます。この比較が最も二機種のレンズの違いが分かります。S95も絞れば少しは良くなりますが、歪曲収差補正による解像感低下は絞っても改善されません。G12は葉の隙間のボケが同じ方向の三角形になっています。コマ収差でしょう。
次にDxOで普通使っている設定で中央を等倍で切り出しました。DxOのレンズブラー補正という、レンズの収差に応じたシャープネスはかけています。
本体生成JPEGほど強いシャープネスをかけなければ、S95も悪くないです。
同じくDxOで処理した画像の左上隅を切り出しました。歪曲収差補正のためにかなり写る範囲が違っています。
S95は元々解像度が悪いのは仕方ないですが色収差は補正されています。それに対してG12のパープルフリンジっぽい色付きは補正できていません。
S95とG12の比較で、中央部はシャープネスを揃えれば大きな違いはなくG12の方が少し良いかなという程度、周辺部はG12の方が露骨に良いです。昼間に、周辺まで綺麗に写そうと思うならG12の方が良いです。
しかし暗くなると、S95は広角端なら1段明るいので、同じシャッター速度で感度を1段落とすことが出来ます。G12のレンズが周辺まで綺麗に写るとはいっても、S95でISO 800とG12でISO 1600の比較ならS95の方が綺麗です。
その他のG12の長所は
ズーム倍率が高く、望遠端ではS95より明るい
バリアングル液晶:結構便利
電子水準器:バリアングル液晶を使うときは水平を取り辛いので便利
光学ファインダー内蔵:見難いけど明るいところではこれがないと写せない
本体が大きいのでダイヤル類が多く操作しやすい:でも感度はAUTOしか使わないから専用ダイヤルは不要です。
電池の容量が大きい:本体が大きいから
などの違いがありますが、大きな違いはやはり
・周辺まできっちり写そうと思ったらレンズの大きなG12
・拡大しないとわからない写りの差は気にせずに、小ささ、レンズの明るさを重視するならS95
という選択になります。
この両機種のハイブリッドIS(手振れ補正)は非常に強力で、普通に撮っても1/15秒、気合を入れれば1/8秒でも手振れしません。一眼レフだとミラーショックとフォーカルプレーンシャッターの振動で1/30秒は欲しいところです。そしてS90だと一眼レフのキットレンズより2段弱明るいですので、シャッター速度を2段遅くできることと合わせて、一眼レフだとISO 1000で撮らなければならないときにS95だとISO 80で撮ることが出来て、これだけ感度が違うとセンサーサイズのハンディは帳消しに出来ます。
一眼レフとの差は寧ろ明るい日中屋外で現れて、最低感度で撮れる時なら、諧調の豊かさにおいて一眼レフが圧倒的に有利です。明るい部分が白飛びしないように暗めに写した時の暗部ノイズが全然違います。
また、ズーム操作とか、一枚撮ってタイミングが早すぎたからもう一枚、という時の間隔など、シャッターチャンスを逃さない動作の速さが大きな違いとなります。
ここまで比べたら、単焦点のGXRだとどうなるか気になりました。時間が違うので明るく、絞りを開けなかったのでF4.0ですが、センサーが大きいので回折ボケはないはずです。
まずは全体。カメラ本体生成JPEGです。
次に中心部と左上。シャープネスは最小にしています。
シャープネスもコントラストも違いますし、そもそも天候も違うので一律の比較は出来ません。
DNGファイルから現像してみました。Lightroomのデフォルトと、Silkypixのシャープなしの順に、中心部を切り出しました。
どちらのソフトも設定するパラメータが多いですが、Silkypixはいくつかのプリセットを選ぶことでパラメータを一つずつ設定しなくても感じを変えることが出来ます。Lightroomは自動設定にするか、全部自分で設定するかのどちらかなので、ソフト任せにしないとなると設定が面倒です。
倍率色収差がありまして、DxOはGXRに対応していませんのでレンズ収差情報に基づく補正は出来ませんが、CaptureNX2なら画像解析で自動補正してくれます。
Silkypixで現像した画像と、それをさらにCaptureNX2で倍率色収差補正した画像の左上隅を切り抜きました。
CaptureNX2で再処理することで倍率色収差が消えました。
拡大してみるとシャープネスもコントラストも低くてぼんやりして見えるのですが、S95のような輪郭強調を入れなくてもここまで解像しているので自然です。
S95やG12でここまでコントラストを下げると単に眠い写真になりますので、諧調の豊かさがGXRのセンサーが大きいことのメリットです。
それと引き換えに、ほぼ同じ大きさなのにズームがないのはセンサーが大きなことの代償として諦めますが、AFも遅く、暗いと不正確になり、ネオンのような点光源だと全く合わないというのはSONYのNEXと比べて劣ります。高感度ノイズは少ないですが暗いところで写すには向きません。NEXも写りの良さそうな単焦点が次々と発売予定になっていますので、これらが発売されたらGXRは苦しくなるでしょう。
関係ないですが
google chrome安定版12.0.742.112
http://dl.google.com/chrome/install/742.112/chrome_installer.exe
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