2007-04-28

「複利効果」VS「相加平均≧相乗平均」

毎回一定の額を賭けるか、前回までの損益も含めて賭けるか、については、 複利の面では前回までの損益も含めて賭けた方が有利ですが 相加平均≧相乗平均の関係からは毎回一定の額を賭けた方が良いです。
100円を単純に2回賭けたとして
場合1:2回とも20%勝ったなら
毎回一定額:最初賭けた100円が120円に増え、次も100円が120円に増え、プラス40円。
前回までの損益も賭ける:100円が120円に、120円が144円に増え、プラス44円。
この場合は複利が効くので前回までの損益も賭ける方が良いです。
場合2:1回は20%、もう一回は40%勝ったなら
毎回一定額:最初賭けた100円が120円に増え、次は100円が140円に増え、プラス60円。
一回あたりの平均は、{(1+0.2)+(1+0.4)}/2=1.3、つまり30%の儲け。
前回までの損益も賭ける:100×(1+0.2)×(1+0.4)=168なのでプラス68円。
一回あたりの平均は、√{(1+0.2)×(1+0.4)}=1.296、つまり29.6%の儲け。
一回あたりに直すと前回までの損益も賭ける方が少し負けますが、複利効果のおかげで勝ちます。
場合3:1回は40%の勝ち、もう一回は10%の負けなら
毎回一定額:最初賭けた100円が140円に増え、次は100円が90円に減り、プラス30円。
一回あたりの平均は、{(1+0.4)+(1-0.1)}/2=1.15、つまり15%の儲け。
前回までの損益も賭ける:100×(1+0.4)×(1-0.1)=126なのでプラス26円。
一回あたりの平均は、√{(1+0.4)×(1-0.1)}=1.122、つまり12.2%の儲け。
一回あたりに直すと前回までの損益も賭ける方の負け方が大きいので、複利効果を使っても毎回一定額に追いつきません。
場合4:1回は40%の勝ち、もう一回は30%の負けなら
毎回一定額:最初賭けた100円が140円に増え、次は100円が70円に減り、プラス10円。
一回あたりの平均は、{(1+0.4)+(1-0.3)}/2=1.05、つまり5%の儲け。
前回までの損益も賭ける:100×(1+0.4)×(1-0.3)=98なのでマイナス2円。
一回あたりの平均は、√{(1+0.4)×(1-0.3)}=0.99、つまり1%の損。
つまり、毎回勝てるのなら前回までの損益も賭けて複利効果を活かした方が良いですが、 負けることも考えると、相加平均≧相乗平均の関係によって毎回一定額賭けた方が良いです。
まとめると
  • まず期待リターンは正であることが絶対条件。上の4つの場合すべて、1回目と2回目の確率が五分五分なら期待リターンは正です。
  • 毎回一定額、つまり所持金の等分割投資で期待リターンに近い実現リターン(正のリターン)を得る確率を高める。
  • そうやって正のリターンを得る確率を高めて(場合1,2のように)から、複利を活かすために前回までの損益も含めて賭ける。
のが良いと思われます。
少なくとも複利を活かそうと前回までの損益も賭けて、場合4のように損するのは避けたいです。
この場合、単純に掛け金を半分にすれば、1回は20%の勝ち、もう一回は15%の負けなので 前回までの損益も賭ける事にしても100×(1+0.2)×(1-0.15)=102、つまりプラス2円となり先ほどのようにマイナスにはなりません。
すなわち、場合4で前回までの損益も賭けるのは、折角期待リターンが正なのに賭けすぎのために実現リターンがマイナスになることを表しています。

2007-04-26

目的関数

先日のOptimal-fに関して、別の何かを意図して書いたのですか、との質問がありました。
が、残念ながら別の意図はありません。ただ、そう見えた理由は、
  • 目的が定まっていれば数学的に最適解を導くことが出来る。
  • しかし、どれを目的とするかの選択は人それぞれであり、数学的に唯一解が存在するわけではない。
ということが、Optimal-fに限らず多くの場面で共通することだからなのか、と思いました。

さてKelly基準の問題点の続きです。10回の賭けでは、4勝6敗も珍しくありません。100回賭けるのなら40勝60敗、あるいはそれ以上負ける確率は低いのですが、Kelly基準では「10回の賭けでは、4勝6敗のことも警戒すべき」ということが反映されません。

10回賭けて10連敗、あるいは1勝9敗は確率的に1%くらいしかないので諦めるとしても、せめて2勝8敗くらいは想定しておくべきだと思います。ところが2勝8敗ではどんな賭け方をしても損します。つまり、10回しか賭けられないならこの賭けはやるべきではありません。
これが100回賭けるとなるとぐっと楽になって、37勝以下の確率が0.6%ですので、38勝62敗程度を想定しておけば充分です。
(1-f)^62*(1+2f)^38を最大にするfは約0.07、つまり100回賭けるなら毎回所持金の7%を賭けておけば、少々運が悪くても充分儲かります。
さらに1000回賭けるとなると、462勝以下の確率が0.8%ですので、463勝537敗を想定して19.5%を賭ければ良いということになりますが、そんなことをすると所持金が4,248,545,514,478,450倍になってしまい、それはそれで現実的ではありません(笑)

このように、賭ける回数が少ない場合は、運悪く負けが込む事を考えてKelly基準より賭ける割合を下げる必要があり、下げる度合いは賭ける回数の少なさに依ります。あるいは、上記計算例では1%の確率を運が無いとして諦めることにしましたが、5%を諦めることにすればもう少し沢山、とは言ってもKelly基準の25%よりは少ないですが、を賭ける事が出来ます。
Kelly基準とは、自分の幸運はアテにしないとしても、自分には不運は起こらないことをアテにしているという意味で非常に心許ない基準です。

2007-04-22

アドベンチャーワールド

和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドへ行ってきました。ここはパンダの繁殖で有名ですが、規模も凄く大きくて楽しみです。

早くパンダに会いたいなぁ。

ウォーキングサファリツアーに行きたかったのですが、残念ながら雨が降っていたので車で回りました。それでキリンさんやゾウさんは近づけなかったのですが、ゾウさんは鼻を激しく振り回すし、車のほうへ走ってくるし、あんなに活発なゾウさんは初めて見ました。それに車なので肉食動物エリアにも入れました。
次にマリンライブを見に行ったのですが、その途中でパンダランドに寄り道。


お母さんは子供より隣の部屋からもらえる餌が気になっていました。


マリンライブのイルカやクジラはとてもよく訓練されていました。ライブの最後には客席側の台の上に乗って挨拶してくれました。


マリンライブが終わってからもう一度パンダランドへ。食後のお休み中でした。


その次にアシカライブを見ました。これも面白かったです。


ペンギンは氷の上で気持ちよさそうです。


ラッコ


たれぱんだ良浜


午後、雨があがってパンダが屋外に出てくれました。こちらは幸浜です。笹を美味しそうに食べますね。後姿はミッキーマウスにも見えます。

ペンギンも一番手前を歩いて「今日はどんな人が来たんだろう」って感じでこちらをじろじろ見てるし、みんな凄い人になついてました。これまで見た中で一番楽しかったです。

2007-04-21

南紀白浜KKR白浜美浜荘

白浜温泉へ行ってきました。

生憎、天気は良くなかったのが残念。夕方の海。手前はエネルギーランド。


晩御飯「紀州のおいしんぼプラン」


食後の散歩


朝御飯。食べたら散歩に行きます。


白良浜。「しららはま」と読みます。これからアドベンチャーランドへ行きます。

2007-04-16

統計学I

自然環境,社会環境を問わず,世の中の現象は大なり小なり偶然変動を含んでいます。統計学はそのような偶然変動を含むデータから有用な情報を抽出する方法を提供します。講義では,データのまとめ方及び推測統計学の考え方について講述します。平均,分散,相関などデータの代表値の意味を理解するとともに,統計的推定や統計的仮説検定の概念を把握することを目標とします。

教科書は「入門 統計学」橋本智雄著 共立出版です。

2007-04-14

Optimal-f

勝率5割、勝てば掛け金に加えてその2倍が戻ってくる、一方負けると掛け金没収というゲームを考えます。例えば100円持っているときに全額賭けると、勝てば所持金は300円になり、負けると0円になります。

さて、所持金のうちどれくらい賭ければよいでしょうか?所持金に対する掛け金の割合をfとして(0≦f≦1)、fを求めましょう。

解1
f賭けたときに戻ってくる金額の期待値は、3f/2+0/2=1.5f。期待値で考えると有利な賭けなので全額賭ける。つまりf=1。
確かに賭けるたびに期待値は1.5倍になります。勝った時に所持金3倍、勝つ確率1/2ですから。しかし、例えば10回賭けた後の所持金の確率分布が
310=59049倍になる確率は1/210=1/1024、その他の場合は所持金なし。期待値は1.510
となります。折角有利な賭けなのに、大半の場合所持金なし、というのは勿体無いです。
解2
f賭けると、勝った時の所持金は1+2f倍に、負けたときの所持金は1-f倍になります。それぞれ確率1/2ですので、2回賭けて一回勝ち、一回負けになった場合を考えると所持金は(1+2f)(1-f)倍になりますから、これが最大になるfを求めるとf=1/4となります。このように、発生確率と同じ比率で事象が起きた場合に所持金が最大になるfが狭義のOptimal-f、あるいはKelly基準です。
たった2回では2連勝、2連敗になる確率も高いですが、例えば100回なら50勝50敗から大きく外れる確率は小さいです。50勝50敗の場合は(1+2f)50(1-f)50={(1+2f)(1-f)}50の中括弧の中を最大にする、というのがKelly基準の考え方です。
解3
Kelly基準は一般に賭けすぎと言われます。それは、回数が少ない場合は、勝ち数、負け数の比率が発生確率と大きく異なることも珍しくなく、特に負けが多くなったときの損が大きくなるからです。
よって、連続して賭けた時の所持金の確率分布を求め、その期待値だけを見たのでは解1と同じになりますので、期待値より下にぶれた値、例えば期待値-1×標準偏差が最大になるfを採用する、と考えます。
期待値は賭ける回数のべき乗で、標準偏差は賭ける回数の平方根のべき乗で増えますから、賭ける回数が少ない場合は標準偏差を引いてもなお大きな値になるためにはfを小さくする必要があり、賭ける回数に応じた最適なfを見つけることが出来ます。
但し実際には畳み込みの計算が大変なので、様々なfに対してモンテカルロ・シミュレーションを行ってfを探すことになります。
このように、最適なfの値を探すのは容易ではないのですが、もしも賭けを平行して同時にいくつも出来るのならば、fを探すことなく解1の期待値1.5倍を得ることが出来ます。
100の賭けが平行して行われているとしましょう。100円の所持金を1円ずつ100個の賭けに投じるのです。するとおそらく50前後は勝って3円に、残りは負けて0円になりますので、所持金は高い確率で150円前後になります。勝った3円をそのままもう一度賭けようとすると50しか賭けが出来ませんので、負けたところにも再配分して、2円を賭けるものと、1円を賭けるもの、あわせて今回も100賭けます。これを繰り返すことで、解1と同様の期待値を得ながら、0円になる確率を大幅に引き下げることが出来ます。当然ながら59049倍になる確率も殆どゼロですが。

これも実際には100もの賭けを同時に行うことは出来ないので、10円ずつ10の賭けを行うことにすると、今度は150円以外にも120円とか180円になる確率もそれなりに高くなります。ここで解2や解3の方法で最適なfを決めるのですが、元々充分に分割してかけていた場合はf=1が最適になることが多いです。

結局のところ、Optimal-fの考え方は、fの値を求めることそのものよりも、

  • 有利な賭けだからといって必ずしもf=1が良いとは限らない。最適なfはもっと小さい場合がある。
  • 賭けを分散することにより、期待値に近い結果を得ることが出来る。
ことを教えてくれるという意味で有益だと思います。

2007-04-02

Change your thinking, change your life.

How to Unlock Your Full Potential for Success and Achievment
日本語版の書名はお金持ちになる人、ならない人の仕事術になっていますが、原題のように、仕事、研究において自分の能力をフルに発揮するための考え方が述べられています。 研究が思うように進まない、今ひとつ楽しく進められない、などの悩みがある時にお勧めです。

印象の強かった部分を引用します。
人生で失敗する主な理由のひとつは、あまり価値のないことに多くの時間を浪費しているからである。多くの時間を浪費してしまう理由は、本当に手に入れたいものがわかっていないからだ。いったん明確な目標を持てば、時間を管理する能力は飛躍的に高まる。

僕も時間の使い方が上手ではないので大いに参考になりました。