が、残念ながら別の意図はありません。ただ、そう見えた理由は、
- 目的が定まっていれば数学的に最適解を導くことが出来る。
- しかし、どれを目的とするかの選択は人それぞれであり、数学的に唯一解が存在するわけではない。
さてKelly基準の問題点の続きです。10回の賭けでは、4勝6敗も珍しくありません。100回賭けるのなら40勝60敗、あるいはそれ以上負ける確率は低いのですが、Kelly基準では「10回の賭けでは、4勝6敗のことも警戒すべき」ということが反映されません。
10回賭けて10連敗、あるいは1勝9敗は確率的に1%くらいしかないので諦めるとしても、せめて2勝8敗くらいは想定しておくべきだと思います。ところが2勝8敗ではどんな賭け方をしても損します。つまり、10回しか賭けられないならこの賭けはやるべきではありません。
これが100回賭けるとなるとぐっと楽になって、37勝以下の確率が0.6%ですので、38勝62敗程度を想定しておけば充分です。
(1-f)^62*(1+2f)^38を最大にするfは約0.07、つまり100回賭けるなら毎回所持金の7%を賭けておけば、少々運が悪くても充分儲かります。
さらに1000回賭けるとなると、462勝以下の確率が0.8%ですので、463勝537敗を想定して19.5%を賭ければ良いということになりますが、そんなことをすると所持金が4,248,545,514,478,450倍になってしまい、それはそれで現実的ではありません(笑)
このように、賭ける回数が少ない場合は、運悪く負けが込む事を考えてKelly基準より賭ける割合を下げる必要があり、下げる度合いは賭ける回数の少なさに依ります。あるいは、上記計算例では1%の確率を運が無いとして諦めることにしましたが、5%を諦めることにすればもう少し沢山、とは言ってもKelly基準の25%よりは少ないですが、を賭ける事が出来ます。
Kelly基準とは、自分の幸運はアテにしないとしても、自分には不運は起こらないことをアテにしているという意味で非常に心許ない基準です。
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