2012-10-18

統計的検定

前回に引き続き、統計学Iの教科書の例題を、Excelを使って計算します。
出典

母平均の検定

例4.8

次の値は、燃費が13km/ℓと称して売られている車で、実際に買った人が測った燃費である。この車の本当の燃費μが13なのかもっと小さいのかを有意水準5%で検定する。
11.5
12.0
11.0
12.5
13.0
11.5
13.5
12.5
13.0
12.5

検定方法

帰無仮説:μ=13
対立仮説:μ<13
母分散も分からないのでデータから推定する⇒推定するのでVARを使う(VARPではない)
母分散を不偏分散で推定するのでt統計量を計算する(統計学の範囲)

計算

は標本平均なのでAVERAGE関数で計算できます。
μは検定したい母平均の値なので13です。 U2は不偏分散なのでVAR関数で計算できます。
nは観測値の数なので10です。
平方根はSQRTです。
これらの関数を用いて、上の式で与えたtの値を計算してみてください。
-2.80624304になったら正解です。

次に、この値が、仮に帰無仮説が正しかったらどれくらい起こりにくいことなのかを計算します。
P(t≦-2.80624304)を計算します。
tの確率分布は自由度9のt分布なので(統計学の範囲)ExcelのT.DIST関数を使います。 TとDISTの間にピリオドが入っていることに気を付けてください。
この関数はExcel2010以降でしか使えません。
P(t≦-2.80624304)の値は=T.DIST(-2.80624304, 9, TRUE)で計算できます。
9は自由度でTRUEは分布関数の値を計算する指示です。
FALSEにすると密度関数になります。

この値は0.010251238になるので、
帰無仮説が正しいなら約1.025%の確率でしか発生しない珍しいこと だと分かります。 有意水準5%ということは、発生確率が5%より小さいことが起こったら帰無仮説を棄却するということなので、今回は母平均μ=13を棄却して、母平均はもっと小さいと判断します。
有意水準を1%にすると、今回は約1.025%の確率で発生するので棄却しません。

対応がある場合の二つの母集団の母平均の差の検定

例4.9

次の数字は、9名に関して安静時の最高血圧と入浴後の最高血圧である。血圧に変化はあるかを有意水準2%で検定する。
安静時入浴後
134139
126130
132141
119117
136140
128129
120134
109111
122130

検定方法

入浴後-安静時の値の母平均μが0に等しいか異なるかを検定する。
帰無仮説:μ=0
対立仮説:μ≠0

計算

9名それぞれに関して入浴後-安静時を計算して、例4.8と同様に計算すると
t=3.14485451になります。
例4.8では、平均μは13に等しいかもっと小さいか、の検定でした。
今回は、平均μは0に等しいかことなるか、の検定なので
P(t≦-3.14485451 または 3.14485451≦t)の値を求めます。
このような両側検定用の関数も用意されていますがあれこれ覚えるのも面倒ですし左右対称ですので
P(t≦-3.14485451)を求めて2倍します。
計算すると0.013704454なので約1.37%であり、これは有意水準2%よりも小さいので帰無仮説を棄却します。

対応がない場合の二つの母集団の母平均の差の検定と、等分散の検定

手順

最初に、二つの母集団の母分散が等しいか検定する。
等しいという帰無仮説を棄却しないなら、母分散が等しい場合の検定を行う。
等しいという帰無仮説を棄却したならば、母分散が等しくない場合の検定を行うが、これは統計学IIの内容。

例4.10

男性10人と女性9人の尿酸値は等しいかを有意水準5%で検定する。
男性X女性Y
4.73.9
6.34.8
5.85.1
5.13.5
3.44.9
4.93.8
5.44.2
4.65.0
5.73.5
6.1

等分散の検定

男性、女性のそれぞれの母分散をσX2, σY2として
帰無仮説:σX2Y2
対立仮説:σX2≠σY2
σX2とσY2をそれぞれ不偏分散UX2, UY2で推定して
の値が大きすぎる時と小さすぎる時に棄却します。
分散に差がなければFの値は1前後になる筈です。
不偏分散を計算する関数を用いて計算するとF=1.710594315となります。
この値は1より大きいので、有意水準5%を、大きすぎる方と小さすぎる方に均等に割り振って、
P(F≧1.710594315)が2.5%より小さければ帰無仮説を棄却します。
男性10人、女性9人なのでFの確率分布はそれぞれ1を引いて自由度(9,8)のF分布なので、
P(F≧1.710594315)は =F.DIST.RT(1.710594315,9,8) で計算します。
この値は0.230633499なので、今回の結果は帰無仮説が正しくても約23%の確率で起こる、珍しくない事なので、帰無仮説を棄却しません。

平均の差の検定

二つの母集団の共通の母分散はで推定できます。
は自由度m+n-2のt分布に従うので、これまでの例と同様に計算して、t=2.546316792となり、このようなことが起こる確率は0.02086737なので棄却します。

終わるのが遅くなって、教室を出たらもう陽が沈んでいました。

絞ったままの設定で撮ってしまって、感度がISO5000まで上がってしまいノイズが増えました。

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