「問題が発生したら、それは使い方が悪かったからだ」こう言われて反論はしません。
ただ、その「正しい使い方」って誰にでも確実に出来るのでしょうか?
先週、妻が角膜炎を起こしました。思い当たることとしてはその前日のコンタクトレンズの使い方で、
・つける前に手は洗った、但し手を拭いたのは殺菌済みの新品タオルではなく、一日一回洗濯してる普通の手拭きタオル。
・手を洗った後に使い捨てコンタクトレンズを袋から出したので、袋の外側についていた雑菌が手についた可能性はある。
・コンタクトレンズを出す時に表裏が分からなくなったので、数回手で弄った。
このような、手術前の外科医としては全く正しくない、でも日常なら充分あり得る使い方をしたら、翌日から眼が赤く、痛くなりました。
元々眼に問題があったということはない筈です。前週、使い捨てコンタクトがなくなったので、買いに行った時に診察を受けましたから。
それとも実はその時点で問題があったのに、コンタクトレンズを売るためにコンタクトレンズ屋併設の眼科医は「問題なし」ということにしたのでしょうか?
格付け会社が、格付け手数料を払ってくれる債券発行者のためにサブプライム債をAAAにするのですから、コンタクトレンズ屋併設の眼科医なら、致命的な大問題がない限り「問題なし」と言うのかも知れません。
先日の学会で会った統計学者から、「眼科医はコンタクトレンズを使わないらしい。何十年も使い続けた場合の安全性はまだ確認されていないから。」と聞きました。
その話を聞いてすぐに妻に使わない方が良いと言ったのですが、これまで問題がなかったこともあり、実際に体験しないと便利さの方が勝るので使いたくなります。
そして病院へ行った時のこと。
眼が痛いので翌日に近所の総合病院の眼科に行きました。受けた検査はコンタクトレンズを買う時に受けるような検査だけではっきりと病名を言いません。「炎症していますね」いやそれは素人でも分かりますって。
あまりに何も言わないのでこちらから「思い当たることとしては前日にコンタクトを~」と言えば「あぁそれだ」と言ってもらえただけで、とりあえず素人には分からない大病ではなさそうだという安心感だけもらいました。
一週間くらいで治るでしょうと言われて目薬を処方してもらいましたが、病院前の薬局は人が多くて受け取るのに1時間待ち、しかも使い方の説明は殆どなくて、添付された説明書を読んで使いました。
ところが一週間経っても全然改善しないのでもう一度病院へ行くことに。また1時間も待たされてはたまらないので、前回処方された目薬を持って今度は少し遠くの眼科医へ行きました。数種類の検査を受けましたがやはり病名を言われません。こちらから「角膜炎ですか」と聞いたら「角膜炎です」と言われました。
「治らなかったらまた来てください」と言われたのですが、年末は台湾に行く予定でしたのでそう伝えたら「台湾で眼科に行くように」と言われました。
それから一週間、良くならず、むしろ痛みが増したので、台湾で眼科に行きました。「急性角膜炎」で、目の傷が多すぎて治りが遅いので手術するとのこと。どんな手術なのかと思えば、麻酔薬を目薬のように垂らして、眼の表面をちょっと引っ掻くだけのような手術でしたが、これで劇的にはっきり見えるようになり、痛みも引き、それからみるみる回復しました。
日本の二軒の眼科医と台湾の眼科医の、何が違うのでしょう?私は医療行為そのものは素人ですので、どちらの医療技術が高いのかの判断は出来ませんし、日本の方が劣っているとは思いたくもありません。ただ、確率・統計を専門とする者として、気になったことがあります。
それは、日本の眼科医は二人ともあまり積極的に治療したり、最初の眼科医は判断を口にしたりすらしなかったということです。治療をすればミスをする可能性は0ではありませんし、判断をすれば間違う可能性は0ではありません。もしかしたら台湾で受けた手術は、失敗したら失明するような手術だったのかもしれません。その可能性は極めて低いので特に危険性の説明などなしにちゃっちゃとやられたのでしょうけれど。
言ったことが間違っていたり、行った治療に問題があると、もしかしたら患者から訴えられるかもしれません。一方、治療を行わなかったことにより治らなかったとしても、患者に「治療していれば治ったはずだ」と訴える証拠を揃える能力はありません。ならば出来るだけ判断、治療のリスクをとらない方が合理的です。
日本の二人の眼科医は、台湾の眼科医が行った手術を、やらなくても治ると誤判断したわけでもないし、やる技術がなかったわけでもないと信じたいです。ただ、万が一ミスした場合に訴えられて、最終的にミスは仕方ないとの判決が出るとしてもそれまでの風評被害を恐れて出来なかったのではないかと想像しています。
そうかと思えば昨年末は手術前に手を消毒せずに感染を広げた眼科医が逮捕されました。どうも日本はリスクを恐れて何もできない人と、リスクに対する恐怖心と一緒に善悪の判断すら捨てた人の両極端しか居ないように思えます。適切なリスクを取ることが大事なのですが。
追記:台湾の眼科で、眼が少し出ているので帰国したら甲状腺の検査を受けるように、と言われたので、受けに入ったら、血液検査の時にちゃんと縛らないからちゃんと採血できず、ちゃんと押えないから検査後内出血しました。日本で病院に行くのが怖くなります。
さらに追記:その医者は
・治療のための病院を紹介する。
・ただしあるの病院向けの紹介状しか書かない、その時はその病院の予約はいっぱいなので紹介状は書けない。
・次回来た時にまたその病院の都合を聞いて予約が取れたら紹介状を書くのでまた来てください。(また金払え)
と言われたので、こんな病院に金払うくらいなら別の病院に紹介状なしの割増料金払った方がマシだと思って、赤十字病院へ行きました。対応も丁寧で、内出血することもなく検査してもらえました。
人間の医者に限らずセカンドオピニオンは大事です。
関係ないですけれどどこかに書いておかないと忘れるので田北病院整形外科
0 件のコメント:
コメントを投稿