2009-05-06

アクティブD-ライティング

旅行中の写真を整理していて、D60のアクティブD-ライティングに関して気になった写真がありました。

1枚目

アクティブD-ライティングを使わない、標準状態の写真です。建物の中が暗いです。

建物の中も見えるように、CaptureNX2の設定を色々変えた写真を並べます。明るさが違うだけで全部同じ写真です。
2枚目

アクティブD-ライティングを「弱め」に設定。建物の中が少し明るくなりました。違いが小さくて分かりづらいので写真をクリックして拡大してください。

3枚目

アクティブD-ライティングを「より強め」に設定。建物の中は明るくなり、しかも空の青さは変わりません。しかし空の、屋根や線との境界部分が明るくなって不自然な気もします。

4枚目

不自然にならないようにアクティブD-ライティングに頼らずに、建物の中を明るくするために露出補正を+1にすると、空が白っぽくなってしまいました。

5枚目

写真全体を明るくする代わりに、明暗差を下げて建物の中が暗くなりすぎないようにしました。建物の中は明るく、空の青さも変わりませんが、全体的に眠たいと言うか、はっきりしない写真になりました。

暗い部分が真っ黒になってしまった1枚目の写真の明るい部分と、明るい部分が真っ白になってしまった4枚目の写真の暗い部分を自動的に合成してくれたのが、アクティブD-ライティングを使った3枚目、と考えることが出来ます。空の境界が繋ぎ目になっているので、境界の部分が不自然に明るくなっているのです。最近流行のHDR(High Dynamic Range)も原理は同じです。白くなってしまった部分は後から暗く出来ませんが、黒い部分はノイズの増加を我慢すれば後から明るく出来ますので、写す時に少し暗めに写して明るい部分が真っ白にならないようにします。
人間の目は、明るい部分を見るときには1枚目のように、暗い部分を見るときには4枚目のように、自動的に調整しています。それを3枚目のように合成してしまうと、効果を強くすると不自然に感じることになります。その点では5枚目のやりかたの方が、鮮やかさは少々劣りますが自然でしかも明るい部分も暗い部分もちゃんと見えます。
あるいは、主に写したいのが明るい部分ならば1枚目のように、暗い部分なら4枚目のように仕上げるという手もあります。つまり、自分が何を撮りたいのか、という選択の問題です。

さらに色々試してみました。
6枚目

CaptureNX2で最大限に修正。空の境界が不自然ですが、右上の青空の中の雲が見えるようになりました。

7枚目

Adobe Photoshop Lightroomで現像。これが不自然さを出すことなく雲も見ることが出来ますが、レンズ情報を用いた歪曲収差が出来ません。CaptureNX2でこのように現像できれば良いのですが…

8枚目。一体同じ写真を何枚現像しているのやら。

CaptureNX2でピクチャー・コントロールをニュートラルにすることでコントラストを下げ、さらにヴィネット・コントロールをOFFにして右上の明るさを下げました。

コントラストに限らず、ホワイトバランスにせよシャープネスにせよ、Lightroomの場合はスライダーで全ての範囲を動かすことが出来ます。ホワイトバランスの「晴天」などの選択項目も、単にスライダーの中の一点をプリセットしているに過ぎません。
一方CaptureNX2の場合、まず先に「晴天」とかセットすると、それによってスライダーで動かせる範囲が変わってきます。
CaptureNX2の方が、常識的な範囲内で設定させる、という感じで、潜水艦で潜った時の写真を色温度50,000Kで現像、のような無茶は出来ません。
ですから、CaptureNX2を使うときは、まず最初にどれを選ぶかが大切で、スライダーによる調節は微調整に過ぎません。

最後に、カメラ本体が出力したJPEG

これで充分にも思えます。歪曲収差の補正はかかりませんが。
ピクチャーコントロールを有効にした時点でコントラストもスタンダードにプリセットされて、それがこの写真には強すぎたのです。そこからニュートラルを選んでもまだコントラストが強かったです。

大雑把ですが、どんな感じなのか考えてみました。
最近のデジタル一眼レフが写すことが出来る明るさの範囲は、普段使われるJPEGで表現できる明るさの範囲(0から255までの256段階)より広いです。その広い範囲を256の範囲にどう割り当てるか、ということを図示します。ここでは写すことが出来る範囲を0から300にします。
暗い部分をそのまま割り当てると、明るい部分が殆ど真っ白に、逆に明るい部分をそのまま割り当てると、暗い部分が真っ黒になります。

Lightroomでは、明るい部分、暗い部分に関して、実際の明るさの変化より写真の明るさの変化を減らすことで300を255に押し込んでいます。

アクティブD-ライティングは、写真の中の明るい部分と暗い部分を分割して割り当てます。

このため、明るい部分と暗い部分の境界、上の写真では屋根と空の境界の部分が不自然になります。
他にも人を写した時に背景が、例えば上半身の背景は明るい空で、下半身の背景は暗い地面の場合、空の部分を暗くするので人も上半身は暗くなり、地面の部分を明るくするので人も下半身は明るくなるので、人の写真として不自然になることがありました。

追記:DxOでも試してみました。最初の写真がニュートラル、次がリアルという設定です。リアルだとコントラストを圧縮した分鮮やかさに欠けます。ニュートラルは記憶色に近づけるためでしょうか、鮮やかです。このニュートラルが一番気に入りました。

追記:DxO6でもやってみました。コントラストを最低にして、カラーレンダリングはD3xモード。最初はDxO Lightingをオフにして、次は弱です。

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